BTM春木:変わらない価値 ISDE 1985という書籍

Posted by BTM Haruki On 2月 - 23 - 2016

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BIGTANK MAGAZINE春木です。Dirt NPをご覧の皆様の中には、知らない人も多いと思うのですが、今から100年以上も前の1913年から、世界各国の持ちまわりで毎年開催が続けられているモーターサイクル競技があります。FIMインターナショナルシックスデイズエンデューロ(以下ISDE)といって、国代表チームが集まって、ワールドトロフィというものを競う、エンデューロの国別対抗戦。モトクロスオブネイションズ、トライアルデナシオンのエンデューロ版といってもいいかもしれません。歴史としてはISDEのほうが旧いことになりますが、まあそれはどうでもいいです。今年は、10月にスペインのナバラ、ヘレスサーキットを基点にしたコースで開催されることが決まっています。世界40カ国、代表チームは30チームぐらい。国代表のワールドトロフィチームのほか、23歳以下のジュニアトロフィチーム、女性の国代表チームであるウイメンズトロフィチーム、それから各国の優秀なクラブマンが集まって競うクラブチームクラスというのも併催され、今年は全体で750名ぐらいが参加することになっています。1日300kmぐらい、6日間1600kmほど走ります。日本から代表が出たこともあります。2006年のニュージーランド大会、翌年のチリ大会、ギリシア大会。しかし2010年のメキシコ大会を最後に日本チームの参加は途絶えてしまっています。主には資金的な問題がありますが、出場しても大体結果か分かってしまっているために、興味が集まらないというのも、遠因にはあるでしょう。しかし徐々に、日本にも強いライダーが育ってきています。世界的には、モトクロス出身のライダーがエンデューロにスイッチしてトップエンデューロライダーとして成功するという流れがあります。その流れを作るのは、直接的には、エンデューロライダーも成功すればプロに成れるというマネー的な土壌ですが、これは、シーン、ライダー、関連業界が、ともにバランス良く成長して実現するものだと思います。
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話が横にそれました。今回お話をしたかったのは、本の話です。スペインでは、何度かISDEが開催されていて、1985年にも大会がありましたが、このほど、1985年のISDE大会を記録した書籍が発売されたので、それを紹介したかったのです。その名も「ISDE 1985」。500ページ以上、ハードカバーで装丁された大著です。価格も65ユーロですから、かなりの豪華本です。ISDEの各大会を記録したこういう書籍は、これが唯一ではもちろんなく、昔から盛んに出版されています。この本の著者自身も1970年の大会の同様の本を出版していますし、スイス・チロル地方(イタリア語圏)に本拠を置く、MGパブリッシングという会社でも、1968年のサンペレグレーノ大会、1974年のカメリーノ大会というように地元で開催された大会の記録を同じような大著にまとめています。最近は一般に、情報流通がWebに拠ったり、電子書籍のような形態になったりと、印刷物の形をとることが少なくなってきましたが、こうした書籍に価値を見出す人が変わらずにいるところなどを見るに、それは「印刷された書籍=フィジカルブック」そのものから価値が失われたのではなく、価値のあるものと無いものが、鮮明に区分けされるようになったのだ、と言えなくもないと思ったりします。こうして「後世に残す」ということを強く意識した書籍というのは、もしかすると今後はますます価値を高めていくかもしれません。現時点では、モータースポーツ関連で、1万5千円もする本など、かなりのマニアのものだと思いますが、趣向、価値観の多様化というのは、現象面で言うとマニアが増えるということでもあり、こうした本はむしろ増えていくのかもしれません。

ちなみに、このISDE 1985には、永田まさおさんという日本のフォトグラファーの作品も多数含まれています。この当時、日本からISDEに参加していたのは、SSDT(スコティッシュ6日間トライアル)にも出場していた西山俊樹さんだけでした。当然、日本の代表チームではなく、インディビデュアルクラス(個人)での参加だったと思います。


携帯向け動画リンク

ISDEの様子は、有名な「オンエニイサンデー」という映画の一章でも見ることができます。1970年、奇しくも、スペイン大会ですね。若かりし頃のマルコム・スミス御大が、アメリカ代表チームで出場した時で、御大はゴールドメダルクラスアワードという、最高のランクの成績で完走しています。バイクはハスクバーナでした。当時は今よりもルールが厳しくて、6日間の間、消耗部品を除いてバイクのパーツは、ほとんど交換することができませんでした。ライダーだけではなく、バイクの耐久性を競っていたのです。タイヤ交換などの整備も、自分で携帯している工具以外は使えませんでした。もちろん、整備はすべて自分でやらなければなりません。今は、ハンドルバー、フロントフォーク、ピストン、シリンダーも必要であれば交換できます。オンエニイサンデーという映画は、アメリカの豊かなモーターサイクルスポーツライフを描いた名作ですが、このISDEの章では、そんなストイックな競技の緊張感が描かれて異色を放つとともに、作品の完成度を高めてのに一役を買っています。話が脱線したようですが、そんな競技の姿と、時代遅れな感じもする豪華な書籍に、共通のもの「旧くても良いものは残る=普遍性」のようなものを感じ、あえて、こんなことを書いてみた次第です。

書籍 ISDE 1985
http://isde1985.com/en/content/

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